Science 10








 ナトリウムイオンは+1で、塩素のイオン(「塩化物イオン」と言う)は−1になる性質があります。
 食塩はこれらが同じ数集まって合体したものなので、プラマイ零。ですから「食塩」自体はイオンとは呼びません。

 さて、これを水に溶かしてみましょう。

 あら不思議、Na-とCl+は分かれてしまいます。なぁ〜ぜぇ〜(某番組風)。
 ま、そりゃ水中では別れた、いや分かれた方が安定するからですね。

 じゃ、分子は溶かすと必ずイオンになるのかと言うとそうでもなく、例えば「砂糖」等はイオンにはならないんですねぇ。物によります。
 んで、水に溶けるとイオンに分かれるものを「電解質」そうでなければ「非電解質」と言うのです。

 これも勘違いしている人が多いのですが、水は基本的には電気を通しません。絶縁体です。(全く流れない訳ではないのですがね。)

 でも電解質を溶かすと電気が流れるようになります。
 何故か?じゃぁ、そもそも電気が流れるとはどういうことか考えましょう。

 鉄の棒を電池に繋ぎます。
 鉄は「導体」ですから、電気が流れます。
 つまり、−から+へ、電子君が歩きます。(別に走っても前転しても良いですが此処では歩いて下さい)
 さて、ここで問題です。
 鉄の原子だって電子君が居るのです。
 鉄に入った原子君と出てきた電子君は同一人物でしょうか?

 突然ですが、A君がC君に500円を借りました。
 A君は借金を踏み倒すような人でなはく、どうにかして必ず返そうとします。
 直接返してもいいけれど、B君を介しても良いでしょう?
「B君、これC君に返しといて〜」ってな具合。
 皆良い子なのでC君のもとには無事500円が帰ってきました。
 でも、同じ「五百円玉」じゃないですよね。製造年や、その他諸々ふくめ、それが借りた五百円玉であるかくりつはひっじょーに少ないです。

 まぁ、つまり。
 「電気が流れる」というのは「電子が入って、その分出てくる」なら良いんです。

 話を食塩水に戻します。
 「食塩水に水が流れる」ってのは電極棒の間を電子君が通り抜ける必要は無いんですね。
 −の棒に電子が吸収されて、プラスから出てくりゃ良いわけです。

 食塩水ですからNa+とCl-が入っています。
 また、水の中には、極僅かながらH+とOH-が入っています。
 で、−の棒には電池からの電子が来ていますから、プラスのイオンであるH+とNa+が引き寄せられますし、+極は電池に電子を吸収されて電子が足りないのでマイナスのOH-とCl-が引き寄せられます。

 と・こ・ろ・で。
 原子は何故イオンになるかと言うと「安定するから」だと言いました。
 その安定具合は原子の種類に由るんです。つまり、「イオンになりてぇー」って勢いは原子の種類によって違うんです。

 そして「イオンになりたい度」が「イオン化傾向」です。
 NaとHを比べると、Naの方がイオンで居るのが好きなのです。
だから−棒に有余っている電子を受け取るのはH+です。

 H+は電子を受け取ってH原子に戻ります。原子に戻ったHは二個合体してH2になって気体として出ていきます。
 二個合体する理由も安定するからですね。
 Na+の方はイオンで在りたがるので電子を受け取りゃぁしまへん。

 そして、反対側の棒でも同じ事が起こるわけですね。

 Cl-とOH-では後者の方がイオンでありたいのでCl-の方が+棒に電気を引っ手繰られます。
 そしてCl-はイオンでなくなってしまい、二個合体してCl2と言う気体になります。

 つまり、食塩水に電子君が入ってきて一方で原子君が出て行き、これで「電気が流れた」と言えるワケ。 ですが水の中を電子が走り回っているわけではない。

 ほら。
 だから、イオンに分かれない「非電解質」だと電気は流れない。
 で、この電気分解の考え方をひっくり返したのが「電池」です。


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